TOP > Project > ITALIYA MINI COOPER-S

老舗女性ファッションブランドがこだわったのは色と質感。

1980年から90年代にかけ、モータースポーツをはじめマセラティやランチアなどの正規代理店であった『ガレージ伊太利屋」を系列に持つアニマル柄ファッションの先駆者『伊太利屋』。同社の代表取締役である菊池氏のこだわりで誕生した今回のプロジェクトは普通のラッピングとは一味もふた味も違う、実験的で挑戦的な試みになりました。
『伊太利屋』社が展開する豹柄のキャリーケースと同じMINIを作りたい、と言うお話からスタートしたこのプロジェクト。まずはキャリーケースに使われている柄を服飾のパターン制作と同じ手法を使い拡大パターン化。さらにそれを微妙な濃淡の差をつけてテスト出力し、色を理想と合わせて行く…
それと並行して行われていたのがなんとクルマのオーダー。代表取締役でありデザイナーでもある菊地英雄氏のこだわりでクーパーSに茶色レザーシート、ルーフは貼らずにボディのラッピングを映える姿にするためにブラウンメタリックがいい…と選んだ結果、カタログにはなく本国発注のオーダー仕様に。

ita-002.jpg

制作された豹柄は述べ20m。全てが特注×特注×特注。

豹柄のデータこそキャリーケース用のものが使えるものの、実際のクルマに貼った時の柄のサイズ感やグラデーションの入り方、フィルムのサイズと施工方法を考慮したフィルムのレイアウトなどをラップテックのデザイナーがイメージデザインへとまとめ、何度も微調整を行いながらオーナーさまとのイメージを形にしていきます。
その後、ラッピング用フィルムに豹柄の印刷を行い、重ねて艶のあるグロスコート(ラミネート)を行ったフィルムは写真のようにまさに『反物』状態。それをパーツごとのサイズに切りだします。この作業は服飾の型紙に合わせて生地を切るようなもの。
ドイツからはるばるこのために作られた特注ミニクーパーSは納車と同時にフィルム施工に合わせてバラバラの状態で待機。
こうしてフィルム、クルマ、そしてそれを形にするべく何度も打ち合わせされたデザイン画を基に施工がスタートします。

ita-001.jpg

誰もが振り向くリアルな豹柄。そして違和感のない柄のつながり

施工はパーツの脱着を含め述べ4日。しかしこの姿になるまでに約4か月と言う長い時間をかけたプロジェクトとなりました。完成した豹柄ミニクーパーは代官山にある伊太利屋本社へとスタッフの手で納車させていただきましたが、クルマの到着を本社ビルではスタッフの皆さんがお出迎え。企画部の西村氏を含めみなさんその仕上がりと完成度の高さに喜び、さながら撮影会状態に…。

ita-003.jpg

もちろん今回のオーダーを頂いた伊太利屋の代表取締役である菊池氏にも大変喜んでいただき、雑誌『MOTOR HEAD』誌の06号でも取材協力いただきました。会社の宣伝車かと思いきや、このミニクーパーSで通勤し、時にはゴルフにも出かけるとか。
『お洒落は足元から』とクルマをファッションとして楽しむライフスタイルに『フィルムで着せ替え』と言う新しい楽しみが加わったことで、氏のアイディアは次のプロジェクトさえ予感させます。

ita-004.jpg